鉄道唱歌 東海道編の歌詞(豊橋、豊川稲荷、蒲郡の観光・歴史など)について、鉄道に詳しくない方にもわかりやすく解説してゆきます!
↓まずは原文から!
これぞ豐川稻荷道
東海道にてすぐれたる
海のながめは蒲郡
さらに読みやすく!
これぞ豊川稲荷道
東海道にてすぐれたる
海のながめは蒲郡
さあ、歌ってみよう!
♪こーれぞとよかわ いなりみちー
♪とうかいどうにて すぐれたるー
♪うーみのながめは がまごおりー
浜松駅→舞阪駅→弁天島駅→豊橋駅→蒲郡駅→岡崎駅→南大高駅→大高駅→熱田駅→名古屋駅→岐阜駅→大垣駅→関ヶ原駅→米原駅
(飯田線)
豊橋駅→豊川駅→(至・天竜峡、飯田、辰野)
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
長かった静岡県の旅も終わり、愛知県豊橋市へ
浜松(静岡県浜松市)方面から浜名湖を経て、ずっと西へゆきます。
やがて県境を越えて、愛知県東部の大きな街である豊橋市の中心駅・豊橋駅(愛知県豊橋市)に着きます。

豊橋駅(愛知県豊橋市)
豊橋駅から先は、快速列車が充実している!
青春18きっぷ初心者の方は、ここまでずっと普通列車の旅を余儀なくされ、大変お疲れのことと思います。
しかし、豊橋駅から先は快速列車が充実していますので、一気に旅は快適になるでしょう。
豊橋駅で降りて、少し休憩
もちろん、そのまま新快速や快速列車などに乗り換えて、さっさと名古屋方面を目指すのもよいでしょう。
ただ、豊橋駅周辺はカフェや飲食店・商業施設などが充実しています。
そのため、30分~1時間ほど休憩して、名古屋方面の列車に乗ると、旅の負担も軽減するでしょう。
逆に、なぜ豊橋から先は「快速が存在する」のか!?
なぜ豊橋駅までは(静岡県内は)普通列車がなく、逆にその先はなぜ快速があるの!?と、青春18きっぷ初心者は誰もが思うかもしれません。
豊橋駅から先、岐阜駅までは私鉄である名鉄線(名古屋鉄道)と競合しているので、JRとしても快速列車等で対抗してスピードアップせざるを得ないのです。
お客様を名鉄に一方的に持って行かれては、かないませんからね。
では、なぜ静岡県には快速が無いのか!?については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

豊橋市は、三河地方(愛知県東部)の重要な街
かつて豊橋に存在した、吉田宿
愛知県豊橋市(とよはしし)は、かつて吉田宿(よしだしゅく)のあった東海道の宿場町でした。
豊橋はかつて「吉田」と言われていた時期もありました。
しかし、市街地を流れる「豊川」にかかっている橋である「豊橋」から、「豊橋」という地名がついて(由来となって)います。

豊川(愛知県)
豊川(とよかわ)には、「(水が)豊富な川」などの意味があります。
豊橋が所属する、「三河地方(三河国)」
愛知県の東部に位置する豊橋市は、三河地方(みかわちほう)の主要な大きな街になります。
なお、三河地方とは、かつての三河国(みかわのくに)の領域のことをいい、例えば、
- 豊橋市
- 岡崎市(おかざきし)
- 安城市(あんじょうし)
などのエリアのことをいいます。
飯田線との分かれ道でもある、豊橋駅 豊川稲荷へも、飯田線で!
豊橋駅は、飯田線(いいだせん)との分岐点でもあります。

豊橋駅・飯田線ホーム(愛知県豊橋市)
歌詞にある豊川稲荷(とよかわいなり)方面へは、この「飯田線」に乗り換えて向かうことになります。
4つの私鉄を原型とする飯田線
飯田線は、豊川鉄道(とよかわてつどう)をはじめとする4つの私鉄を前身とする路線になります。
飯田線は、天竜川に沿って北上し、長野県の、
- 天龍峡(てんりゅうきょう)
- 飯田(いいだ)
- 伊那(いな)
- 辰野(たつの)
- 諏訪湖(すわこ)
方面へと向かって伸びる鉄道路線です。

飯田駅(長野県飯田市)
飯田線は約200kmの距離を約7時間かけて走り、さらにきつい勾配やS字カーブの連続があるため、時速30km程度の区間も多く低速になります。
多くの秘境駅が存在する飯田線
飯田線は、数多くの秘境駅があることで有名です。
例えば、当時の皇太子妃雅子さま(現・皇后陛下)の苗字から一躍有名になった、
- 小和田駅(こわだえき、静岡県浜松市天竜区)
や、断崖絶壁に作られた
- 田本駅(たもとえき、長野県下伊那郡泰阜村田本)
も、秘境駅として知られます。

小和田駅(静岡県浜松市天竜区)

田本駅(長野県下伊那郡泰阜村田本)
小和田駅については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

田本駅については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

天龍峡
また、天竜川(てんりゅつがわ)によって作られた美しい峡谷である天龍峡(てんりゅうきょう)もあります。

天龍峡(長野県飯田市)
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

飯田線についてはもっとたくさん語りたいことがあるのですが、今回はメインではないので、また改めて飯田線メインの特集記事をやりたいと思います!
(2025年追記:飯田線シリーズは、↓こちらからご覧ください!)

お寺なのに神社の鳥居がある!?「神仏習合」の豊川稲荷
豊橋駅から飯田線で10分ほど北上すると、愛知県豊川市(とよかわし)にある、豊川駅(とよかわえき)に着きます。

豊川駅(愛知県豊川市)
たくさんのキツネがお迎え 豊川稲荷の門前町
豊川駅に着くと、豊川のシンボルともいえるたくさんのキツネが我々を迎えてくれます。
キツネは、豊作などに縁起のよい神様とされているため、稲荷神社のシンボルとされています。
豊川駅~豊川稲荷(とよかわいなり)までの参道には、たくさんの参拝客をもてなすお店があります。
このように、参拝客を対象としたお店(食事・お茶・お土産・宿泊など)によって栄えた街を、門前町(もんぜんまち)といいます。
お寺の門の前に栄えている町なので「門前町」というわけですね。
一方、神社の参拝客をもてなす場合は、「鳥居前町(とりいまえまち)」という表現をすることもあります。
神社の鳥居の前に栄えた町なので、「鳥居前町」というわけです。
お寺なのに、神社の鳥居がある!豊川稲荷
豊川市において重要不可欠なものは、やはり鉄道唱歌の歌詞にもある豊川稲荷(とよかわいなり)です。
豊川稲荷(とよかわいなり)は、神社の鳥居が存在しながらお寺の門やお寺の鐘までもがあるという、日本古来の神道(しんとう)と仏教が混じり合ったお寺です。
勘違いされやすいのですが、豊川稲荷は神社ではなく、正式名称を妙厳寺(みょうごんじ)というお寺になります。
私(筆者)が初めて豊川稲荷に行ったときは、神道における神社と仏教が混じり合った境内(伽藍配置)の様子に、とても驚きました。
豊川稲荷の女神・ダキニ天
豊川稲荷はあくまで仏教の「お寺」なので、ダキニ天という仏教の神様が祀られています。
ダキニ天は、お稲荷さまと同じく、豊作や商売繁盛にご利益がある神様なので、同じ神様であるとされてきました(同一視)。
このように、神様と仏様を同一視する考え方を、「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」といいます。
明治時代、「神仏習合」が厳しく取り締まられる
明治時代に入って日本が「これからは神道をベースにして強い国家を作ろう」とうことで神仏分離令(しんぶつぶんりれい)が出された時に、神仏習合をしている寺社は厳しい取り締まりの対象となりました。
しかし豊川稲荷の場合は、元々は先程述べたように妙厳寺(みょうごんじ)という名のお寺だったので、神仏分離の対象とはなりませんでした。
しかし、鳥居は撤去されたようです。
現在豊川稲荷にある鳥居は、戦後に建てられたものです。
豊橋駅に戻り、名古屋方面へ出発!なぜ海側のルートなのか?
豊橋駅に戻ると、いよいよ名古屋方面に向かって新快速などの速達車両に乗っていくことになります。
豊橋駅を出発すると、
- 豊川(とよかわ)
- 豊川放水路(とよかわほうすいろ)
という二つの大きな川を渡ります。
なお、放水路(ほうすいろ)とは、豪雨などがおきて川が氾濫しそうなときに、水を逃がして氾濫を防ぐために作られた人工的な川のことです。
東海道線はなぜ「海側」のルートを選択した?
東海道線の列車は豊橋駅を出ると、蒲郡方面の海側へルートが大きく分かれていきます。
しかし、かつて江戸時代の旧東海道は海側でなく、より内陸側を通っていました。
これは、ほぼ現在の名鉄線のルートに当たります。
これはなぜかと言うと、「鉄道忌避説(てつどうきひせつ)」というあくまで俗説にはなるのですが、明治時代の当時は列車の吐く煙を嫌ったらしく、それを回避する目的であえて蒲郡経由(海側)のルートになったという風に言われています。
しかしその結果として、かつての旧東海道の町が廃れてしまう恐れがあったため、それを救済する目的で、名鉄線ができたのかもしれません。
特に豊橋~岡崎間の名鉄線の線路は、ほぼかつての旧東海道にルートに沿っています。
東海道線は、基本的には海側を通らないルートが多い
東海道線は、海辺近くを通らない路線が多いことで有名です。それは歴史的に、海外からの砲撃を恐れてのことだと言われています。
例えば、現在の小田原~熱海間は、確かに根府川付近で広大な相模湾を眺めながら走行します。
しかし、この区間は1934年に開通した、鉄道唱歌の時代(1900年頃)よりも比較的遅い時期に作られた路線です。
(厳密には、国府津~熱海間は「熱海線」として1925年に開通しています。)
しかも、海外からの砲撃を恐れてか、かなり高台に線路が敷かれています。
他にも、東海道線で海沿いを走る区間といえば静岡県内の富士~静岡間にある、蒲原駅(かんばらえき)・由比駅(ゆいえき)付近で海辺近くを走ります。
しかしそれ以外の区間は、ほぼ内陸部(海岸から遠い地域)を線路が通ることが多いといえます。
海沿い地域を走り、やがて蒲郡市の複合リゾート施設であるラグーナテンボスの近くを通ります。

蒲郡・ラグーナテンボス付近(愛知県蒲郡市)
蒲郡駅に到着!鉄道唱歌の歌詞が刻まれた看板も
そして、列車は愛知県蒲郡市(がまごおりし)の蒲郡駅に到着します。

蒲郡駅(愛知県蒲郡市)

蒲郡駅付近・海の景色(愛知県蒲郡市)
蒲郡駅(がまごおりえき)で降りると、それは素敵な海の景色に出会えます。
鉄道唱歌の歌詞に

鉄道唱歌の歌詞が記された、蒲郡駅前の看板。この看板を見るだけでも、蒲郡駅で下車する価値は十分ります。もちろん海も近いので、海を眺めに行くのもOKです!

蒲郡の海。はるか向こうは、渥美半島(あつみはんとう)。(愛知県蒲郡市)
蒲郡駅の南口には、鉄道唱歌のこの歌詞の部分が記された看板が立っており、私はこの看板がとても気に入っています!

蒲郡駅・鉄道唱歌の看板(愛知県蒲郡市)
しかし、蒲郡駅からは海がほぼ近い位置にあるため、貴重な海の景色を眺めることができます。
蒲郡の海に浮かぶ「竹島」
蒲郡には、海にぽっかり浮かぶ竹島(たけしま)という島があり、橋を使って島まで行くことができます。

竹島(愛知県蒲郡市)
蒲郡の竹島(たけしま)は、蒲郡の三河湾にぽっかりと浮かぶ小さな島のことです。
竹島には主祭神(しゅさいじん)として、やはり海の守る女性の神様である弁天様(べんてんさま)が祀(まつ)られており、海の安全を守っています。
弁天さまはインドの神様ですが、日本神話に出てくる市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)という女神と、同じ神様であるとされています。
竹島にある、弁天さまを祀(まつ)るための神社を八百富神社(やおとみじんじゃ)と言います。
カップル要注意!蒲郡の竹島でデートすると別れる?
蒲郡の竹島にも、やはりカップルで行くと別れるというジンクスがあるので、気をつけましょう。
これは、
- 神奈川県藤沢市の江ノ島(えのしま)
- 広島県廿日市の宮島(みやじま)
などの、同じく弁天さまが祀られている島にも、同じことが言えますね。
弁天さまは女性の神様なので、カップルで行くと嫉妬されるそうです。
しかし、実際には
- 「待ち時間が長いから、話のネタが尽きて別れる」
- 「他のカップルと自分の彼氏彼女と比較して、幻滅して別れる」
- 「
別れた原因を江ノ島デートにしたいだけ」
など、科学的エビデンスに沿った理由はきちんとあったりするわけです。(^^;
蒲郡の「三谷温泉」
また、蒲郡周辺には三谷温泉(みやおんせん)など、温泉街の優れていることで知られます。
蒲郡を出て、次は岡崎へ
蒲郡駅前には、他にもアピタ蒲郡店というスーパーがあり、また海の景色もよく「生命の海科学館」などもあるので、ぜひ一度降りて行ってみましょう。
次は、岡崎駅に止まります!
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